井村雅代コーチ著『あなたが変わるまで、わたしはあきらめない』
私にとって教育のバイブル的な本。
何かやろうとして、うまくいかないときがある。
そんなとき、才能がないとか、向いてないとか嘆く選手がいる。
それは違う。
努力が足りないんだから、もっと努力しよう、と単純に考えて行動に移さなくてはならない。
その努力できる能力のことを”心の才能”という。
これが一番大切。
シンクロでは立った瞬間にオーラがなかったら、世界の審判員はいい点をつけてくれない。
大切なのは、その子が自分のことをカッコいいと思っていること。
そう思うことで、人間には中から出てくるものがある。
薄っぺらな人とか心があったかくない人とかは、すぐにわかってしまうから怖い。
そんな見えないものを感じるのが人間。
理屈抜き。
「幸運もオーラも、元気そうな人についてくるよ」と選手には教える。
教育に限らず、人に携わる仕事で「絶対」はない。
人間相手の仕事に正解はない。
人間に、こういう事態のときにはこういうことを言いなさいという正解はない。
たとえ問題が一緒でも、人間が違ったら、日が違ったら同じではない。
人間を相手にすることは、いつも試行錯誤、応用問題だから面白い。
引き出しを増やすには、色んな話を聞いたり、色んな経験をしたりすること。
ありがたいのは、コーチや学校の先生は、失敗しても経験、成功しても経験になること。
全部自分の肥やしになる。
でも難しいのは、選手にはその時しかないということ。
学校なら、生徒には”今”しかない。
だから「あの先生にめぐり会ってよかった」と思わせてやらんとアカン。
いくら経験になるといっても、教え子を実験台にしたらダメ。
では、どうすればいいのか?
自分の持っているノウハウを結集して、その子のことを考えて接するしかない。
この子のため、この子のため、とやっているうちに自分に酔ってないか?
自分の使命感に酔うのではなく、どこかに冷静な自分がいないとダメ。
本気になってもその気になるな。
多様な人間そのものを面白いと感じる、
つまり人間好きでなかったら、人の前に立ったらアカン。
人間は引っ張られたほうが変わりやすい。
その引っ張り役が教師であり、コーチであり、会社の上司である。
その人の熱意や情熱によって、「できるかな」から「できるみたい」に変わっていく。
だから引っ張る人にエネルギーがないとダメなんです。
井村コーチの「コーチ哲学」
人を育てる立場にある方へ、オススメです。