6月号の『致知』より

井伏鱒二著『山椒魚』のお話しが

エリザベス・キューブラー・ロス著『死ぬ瞬間』を用いて解説されており、

興味深かったのでシェアします。

人が死にゆく過程でどのような状態を辿るかの5段階。

第1段階は「否認と孤立」

現実を受け入れられず、感情的に否認する。

第2段階は「怒り」

「どうして自分がこんな目に遭うのか」という感情が湧き、

周囲にも怒りをぶつける。

第3段階は「取り引き」

「生き方を改めますから死を回避させてほしい」と神仏に祈り

取り引きをしようとする。

第4段階は「抑鬱」

死は避けられないという現実を突きつけられ

悲嘆と絶望から鬱状態に。

第5段階は「受容」

それまで拒絶していた人の死は自然なことだと

静かに受け入れていく。

「死に向かうプロセス」っていうと大きなテーマになってしまうけど

これ、日常も一緒だな。

人は誰もが弱さを併せ持っていて、

自分や他人の欠点をなかなか認められず、

自他を責めながら生きている。

でも、自他を責めてばかりいても、現状は変わらない。

むしろ対立の溝が深まるばかり。

そんな現実に振り回されている自分を客観的に見つめ

「悪い感情が湧き起こるのは、人として当たり前。

これも私自身、相手の中にある弱さなんだ」と気づき続けること。

そしたら葛藤がいずれ受容になるという鈴木秀子先生の解釈。

いつの間にか体が大きくなって岩屋から出られなくなった『山椒魚』の姿は、

膨らんだ思い込みに囚われて、

正しく物事を考えることができなくなった私たちの姿と同じ。

ちょっと視点を変えれば

豊かな恵が目の前に広がっているのに、それに気づかない。

考えごとをしていれば、大切な家族との会話も耳に入ってこない。

自戒も込めて。

連載の最終回。

村上和雄先生のメッセージ。

幸せの一番の指標は、

大切に思う人、思ってくれる人と共に過ごす時間。

そして他人との繋がりだけでなく

健全な自分との繋がりも大切にする。

感情はポジティブでもネガティブでも、どちらでも良し。

ただの脳の反応だから、どんな感情も正当化すればOK。

ただ、行動は別。

感情と行動の区別を。

そしてこの感情を生み出すものは、

起こる出来事ではなくて、捉え方ひとつ。

さぁ、今週も頑張ろう!