世阿弥『風姿花伝』

先日の望月人事クラブで『風姿花伝』の話が出たときに

真っ先に思いついたのは、スーパー世阿弥マシン。

『俺の家の話』家族で見ています。

この『風姿花伝』、現代語訳を読んでも

私には絶賛されている意味がよくわからなかったけど、

望月先生が教えてくれたNHK100分de名著ブックスを読んで納得。

世阿弥の言葉「初心忘るべからず」

この「初心」は「最初の志」に限られておらず、

人生の中にいくつもの初心があると。

若い時の初心、人生の時々の初心、そして老後の初心。

ヨーロッパの身体芸術では年をとってから

なお芸が進化するといった考え方はあまり見られない。

オペラもバレエも「青春の芸術」

一方日本の芸能は肉体が衰えても、その先がまだあると考える。

舞台に老役者が出てきても違和感なく見ていられるのは

日本人の美意識の中に「老いてのちの何かがある」という期待があるから。

だから高齢の役者を見て「ああ名人だ」と感嘆したりする。

(『その女、ジルバ』も好きです)

世阿弥は「老いの美学」を身体芸の世界で初めて確立した人物。

「初心」とは、今まで体験したことのない新しい事態に対応するときの方法や

試練を乗り越えていく時の心構え。

『俺の家の話』の中で西田敏行さんが孫に能を教えてるんだけど、

父親が子供に教えるときは、

できない息子に「どうしてできないのか」と厳しく言ってしまう。

でも相手が孫になると、自分の息子も最初はできなかったことを経験済みだから優しくなる。

これって、やっぱり必要だよな。

親子は近すぎて。

間に入ってくれることで、どれだけ助かるか。

この『風姿花伝』の解説、

場をつくることが必要な方には、ぜひお読みいただきたいです。

研修でも営業でも会議でも必要な智恵が、ふんだんに書かれています。

場は生き物

時節感当

離見の見

男時・女時

秘すれば花

「人気」や「景気」という最も不安定なものと向き合い続けた人生。

深いな。