2018
04.08

退職者が年次有給休暇を一括請求してきた場合は?

就業規則, 年次有給休暇

年休の一括請求と引き継ぎ

退職時に年次有給休暇の一括請求をしてきた従業員への対応としては、最終的には、年次有給休暇の買上げによって対応するか、あるいは取得させるかの選択肢しかない。

どちらで対応するにせよ、会社としては、当該従業員が業務の引き継ぎを滞りなく完了した上で、円満に退職していくのであれば、年次有給休暇の一括請求をされても、心情的にある程度は許容しやすいかと思う。

しかし、引き継ぎも十分に行うこともなく、一方的に退職の意思表示をした挙句に、「翌日から年次有給休暇を取得するので出社しません」などと言う従業員であれば、何らかの対抗手段を講じたいと思うのは、当然のこと。

ただし、年次有給休暇は従業員に認められた強い権利。

一方で、業務の引き継ぎは、退職する従業員にとって最も重要な職務であり、さらに当該従業員でなければ行うことができず、代替性に欠けることから、その任務の重要さは、通常の業務以上と考えられる。

こうした場合、結局、労働者からの請求があれば、取得か買上げかのいずれかで対応をしなくてはならないが、少なくとも引き継ぎを行わせることは、会社としては最低限譲れないところ。

このような状況下において、従業員から年次有給休暇の一括請求をされた場合、会社は、どのように対応するのがよいのか。

 

「休日」には出勤を命じることができる

本来、当たり前の話だが、雇用関係にある従業員は、使用者の指示命令に基づいて誠実に職務を遂行する義務がある。

つまり、年次有給休暇を取得しているということは、雇用関係が継続しているわけなので、仮に従業員が、退職の申し出と同時に年次有給休暇を一括請求し、翌日から出社しないという表明があった場合であっても、会社としては、引き継ぎ業務を行わせるために、休日出勤を命じることができるということになる。

年次有給休暇を取得している期間中に出勤させたら、年次有給休暇を取得したことにならないのではないかと思われるかもしれないが、そうではない。

会社が出勤を命じるのは、年次有給休暇を取得している日ではなく、休日。

もともと労働の義務がない休日であれば、当該休日において、労働の義務を免除するという効果を持つ休暇を取得することは、理論的にできないことになるため、会社としては年次有給休暇取得日の合間にある休日に休日出勤を命ずることが可能。

 

事前調整に努める

しかしながら、このような休日出勤命令が原因で労使間トラブルに発展することは想像に難くない。

よって、当該休日出勤命令については、極力行使することなく、引き継ぎを行わせるという交渉の中での、材料の一つという程度に留め、事前調整を行うことに努めるべき。