2018
04.08

年次有給休暇の買い上げが違法とならないケースは?

就業規則, 年次有給休暇

年休買上げにかかる行政解釈

法定付与日数を超える部分は買い上げできるとはいえ、中小企業においては、法定付与日数すら消化できないのが現実なので、法定付与日数を超える付与日数などが存在する可能性は、ほぼ無いだろう。

そうすると、年次有給休暇の買上げは現実には不可能ということになってしまうのだろうか。

これについては、次の行政解釈がある。「年休の買上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年休の日数を減じ、ないし請求された日数を与えないことは、法第39条違反である。しかし、結果的に未消化の年休日数に応じて手当を支給することは違法ではない。(S30.11.30 基収第4718号)」

これは、年次有給休暇が労働者の健康で文化的な生活の実現に資するために付与されているという年次有給休暇の制度趣旨に照らし合わせたときに、その買上げにより年次有給休暇の取得が阻害されることを禁止するものであり、結果として買い上げることまでを違法とするものではないということを意味しているといえる。

 

年休買上げの3つの例外

上記を勘案すると、例外的に以下の3つのケースは、結果的に未消化となった日数について手当を支給する(買い上げる)場合であり、違法ではないと考えられる。

(1) 法律の規定を上回って付与している日数の年休

就業規則や労働協約等により、労働基準法に定める日数を上回る年休を付与している場合には、その上回る日数分について買い上げの制度を設けても違法とはならない。

(2) 時効となる年休

年休の権利は翌年に繰り越すことができるが、2年間で時効により消滅する。(労基法第115条)

労働者が請求をせずに、時効によって消滅した年休を買い上げることは違法ではない。

時効により消滅した年休は、もはや法律の関知するところではないと考えられるから。

(3) 退職によって無効となる年休

定年や辞職などによって退職する人について、退職時に未消化である年休を買い上げることは、差し支えない。

退職後には、年休の権利を行使することは、そもそもできないから。

このように、退職時に行う年休の買い上げは可能なので、退職前に現実に労務提供をさせる、一定の効果が得られると思われる。

ただし、この対応は、年休の取得を阻害することにも繋がるため、就業規則に規定化する必要はない。