2018
04.08

固定残業を超えた場合の割増賃金の支払いは必要か?

就業規則, 割増賃金

残業代の定額払い制とは

割増賃金の支払方法は原則として、一賃金計算期間内に発生した時間外、休日、深夜労働の時間を把握し、それに割増賃金の時間単価を乗じることによって算出する。

一方で、現実の時間外労働等の有無、および長短にかかわらず、一定時間分の定額の割増賃金を支給する、いわゆる「残業代の定額払い制」を導入している企業も見受けられる。例えば、「営業手当は、月間20時間分の時間外手当を含む」とか「1日1時間分の時間外手当を含めて1日1万円とする」といった賃金の定め方。このような決め方も、適切に運用されているのであれば、適法となる。

しかし、現実の時間外労働により発生する割増賃金が定額払いの残業手当を超えた場合でも、定額払いの残業手当しか支給せず、それを超えた差額賃金を支給しないことは違法。このような場合は、労働者は差額賃金を請求することが可能。(関西ソニー販売事件 大阪地判 昭63.10.26)

 

適法に導入するために

適法に残業代の定額払い制を導入するためには、まず就業規則、賃金規程、労働契約などにおいて、定額払いの残業手当が時間外手当相当分であるという定義を明確に規定することが必要。

何の定めもない場合や、時間外手当として支給している部分が不明確な場合には、後で争いになった際に、「基本給の中に割増賃金が含まれている」という主張をしたとしても、その主張は認められない。

また、「○○手当は残業代という主旨で支給している」という場合についても、例えば営業手当の支給要件が、当該職務に対する手当として定義されている場合には、この手当は通常の労働に対する対価であって、これをもって残業代の支払いに代えることは、原則としてできない。

 

営業手当に時間外手当を含む場合

仮に、営業手当を、時間外手当相当分として支給しようとする場合には、その手当の名称からすると、一見して時間外手当相当分とは判別できないため、当該手当の中に区分(いわゆる残業部分とそうでない部分、あるいは全額)を設け、当該手当の定義を明確にする必要がある。

このような定めがない場合は、当該手当を時間外手当相当分として支払っていたという主張自体が通らず、その手当額も含めて時間単価を計算して、割増賃金を支払う必要が生じてくるので、注意が必要。