2018
04.07

医師の診断書はプライバシーの侵害になるか?

就業規則, 復職

労働者のプライバシーとは

医師への面談等を求めようとすると、従業員から、プライバシーの侵害ではないかという反論が出る可能性がある。果たして、これらはプライバシーの侵害になるのか。

プライバシーとは、一般的には「個人情報や私生活をみだりに公開されない権利」であり、「自己に関する情報をコントロールする権利」ともいわれている。

しかし、このプライバシーの定義とは、国と国民、あるいは何ら契約関係の無い私人間における権利の問題。労働契約を締結している従業員にとっては、当該契約内容に労働債務を履行できる健康状態を有しているということが、当然に含まれているので、一般のプライバシーと同様に捉えるべきではない。

つまり、一般的にいう国民のプライバシーと労働者のプライバシーは異なるものであり、労務提供を受けるにあたり、本当に健康かどうかという疑義が生じた場合は、会社はそれを確認できるどころか、むしろ、会社の安全配慮義務を考慮すれば、確認しなければならない。

 

健康情報の管理が重要

復職の可否を判断する局面では、本当に治癒しているのかという健康状態について、会社が健康情報を取得するのは当然。

会社には、取得した従業員の健康情報をきちんと管理して、それをみだりに公開しないようにすることで労働者のプライバシーを保護することが求められるのであって、健康情報の取得が制限されている訳ではない。

また、労働安全衛生法では、会社は健康診断の実施(第66条)、そして、その結果を記録(第66条の3)することが義務付けられており、逆に労働者に対しても健康診断の受診義務(第66条5項)が規定されている。

さらに、会社には、当該健診結果を労働者へ通知する義務が課されている。これは、会社に労働者の健康情報が提供されることが前提となっていなければできないこと。したがって、会社は、従業員の健康情報を業務に必要な範囲内で取得する権利がある会社に対して労働者の健康情報が当然に提供されることになっている。

このように考えれば、労働契約を締結した時点で、会社が、労務提供に関する労働者の健康情報を確認することは、業務の遂行上必要な範囲で認められており、問題となるのは、健康情報を取得することではなく、健康情報を取得した後の管理をいかにきちんと行うかということ。